Kくんと会った。
でも、今回は本当に短い時間しか一緒に居られなかった。

仕事が終わった11時から、翌日の1時まで。
あまりにも短い。

一緒にごはんを食べて、セックスして……。
それだけで、終わり。

短くても、一緒に居られるのは嬉しい。
でも、やっぱり寂しくてしかたない。
 
  
もっともっと、、、ずっと一緒がいい。
 
 
朝。
抱き合ったまま、目が覚めて。
しばらく話をしてた。

「次はいつ?」
「7月の××かなぁ」
「まだまだ先だね」
「yucoも東京に戻って来いよ」
「うん。でも、あたしも7月になっちゃうかも」
「そうか」

Mさんとはしない相談をする。

Kくんには「次」を期待して良いから。
 
 
「……そろそろ、帰る準備しなくちゃ」

Kくんが言った。
 
「もう?」
「うん」
 
 
「……やだ」
 
 
あたしは、聞こえないくらい小さく呟いて、身体を起こした。
Kくんの足の間に移動して、
Kくんのを触った。

「yuco?」

あたしは、舌先でKくんのをなぞるように舐めた。
ゆっくりと舌先で刺激していくと、
Kくんのはすぐに大きくなった。

Kくんのの先にキスをして、
先をぺろぺろ舐めながら手でしごくと、
驚くくらいガチガチになった。

あたしは、ガチガチになったKくんのを口に含んで、
喉の奥までぎゅうっと押し込んだ。
頭を前後させて唇と舌でしごいて、
先をちゅうっと吸った。

「yuco、したくなっちゃうよ」
「新幹線に間に合わなくなる……」

Kくんに止められても、あたしはやめなかった。

「行かないで」って言っちゃいけない。
でも、行かないで……って思う。
 
 
このままずっと、あたしと一緒に居て。
  
 
Kくんは、あたしを無理矢理ひきはがして、
ガチガチになったのを、あたしの中に押し込んだ。

Kくんが強く突くたびに、
奥の奥に、Kくんのがあたる。

強く強く、何度も突いて、
あたしを壊しちゃってくれればいいのに。

ぎゅうっと抱き合って、
舌を絡ませながら、
激しく腰を振って。

Kくんはあたしの中で果てた。
 
 
「また、すぐに来るよ」

あたしの頭を撫でながら、Kくんが言う。

あたしは何も言わない。
じぃっと、Kくんの胸に顔をうずめるだけ。

Kくんの傍を離れてココに来るって決めたのは、あたし自身だから。
ホントなら、あたしはワガママを言っちゃいけない立場なんだろう。
 
 
「ずっと一緒がいい」

小さく小さく、あたしは呟く。
それがKくんに聞こえたかどうかは、知らない。
色々なことに一区切りをつけなければいけないみたい。

でも、できることならば、
もう一度抱きしめられたかった。

キスでも、セックスでもなく。
 
 
ただ、あなたの匂いと温もりを感じたいと思うだけ。
 
 
ほのかな香水、ほんの少しの煙草。

背の高いあなたの、胸のあたりに顔をうずめて。
長くなったあたしの髪を、
ゆっくりゆっくり撫でてほしかった。
 
 
子ども扱いするみたいでもいい。

愛情なんてなくたっていい。

甘い言葉もいらない。

嘘もいらない。
 
 
いやらしい関係でも。
不倫でも。
セフレでも。
 
 
ただ、あと一刹那、そばに居てほしいと願うだけ。
 
 
あたしは、あなたの温もりが好きだったから。
 
 
 
『あと一度だけ、あたしを抱きしめて』
 
それで、オワリにしよう。 
 
 
メールの中で、あたしは言葉を飲み込む。

ごめんなさい

2005年6月1日
いつもキミに頼ってばかりなのに、
あたしはキミのために何もできてない。

キミが落ち込んでるのがわかったのに、
何の言葉もかけてあげられなかった。

あたしはジコチューだね。
与えてもらうばかり。
与えてあげることができない。

ほんの一言の、励ましの言葉でも、
キミのココロは安らいだかもしれないのに。
たった一言すら、かけてあげられなかった。

キミがこれで、あたしに愛想をつかせたとしても、
あたしは何も言えないんだろう。

ただ、キミを失ったら、
あたしはよりどころを失って、
泣くことすらできずに、
ただ立ち尽くしてるんだろう。

いつだってニコニコ笑って、
明るい声で話して、
キミが落ち込んだ時には、
優しい言葉をかけてあげる。
そういうあたしだったら、
もっとキミを助けてあげられただろうに。

あたしの涙をキミに背負わせて、
あたしはキミの重荷になるばかりだ。

ごめんなさい、ごめんなさい。

それでも、キミに頼りたいと思ってしまう。
キミの声を聞きたいと思ってしまう。
あたたかな腕が遠いところにあるのなら、
電話の向こうからで良いから、
「大丈夫だよ」って言って欲しいと思ってしまう。

「大丈夫、あたしがいるよ」

こんなに単純な一言が、
キミの前でどうして言えなかったんだろう。

ごめんなさい、ごめんなさい。

何もかもが、どんどん壊れていくよ。

誰かに抱かれたい

2005年6月1日
あたしがなんでココにいるのかわからない。
ココの何もかもが好きになれないのに。

あたしがココを受け入れてないのと同じように、
ココもあたしを受け入れてない。

わかってるのに、何でココにいるの?

いっそ泣き出したいけど、涙もこぼれない。
完全に感情から自分をシャットアウトして、
ほんの1ミリ微笑む気力もない。

あたしはココに来てから笑わなくなった。
愛想笑いすら苦しくてできなくなってく。

弱音もぐちも全部飲み込んで、
飲み込みすぎて、普通の会話もできなくなった。
何を喋って良いのかわからなくなった。
他愛もない話ができない。
言葉が出てこない。
 
 
誰かに抱かれたい。
誰でもいい。
あたたかければ何でもいい。

愛してくれなくていい。
虚ろなあたしを抱いててくれればいい。

いっそ深い深い眠りについて、
二度と目覚めなければいいのに。
セックスして、一緒にご飯を食べて。

短い時間にできることは限られてる。

考えようによっては、ただ出張ついでにヤリに来ただけみたいに思える。

あたしとMが、本気で愛し合うことなんてあり得ないから。
 
 
翌日の夕方、Mは東京に戻った。
 
ひとりになった夜、あたしはひどい倦怠感にかられた。
ぽろぽろと涙がこぼれて、
Mの匂いが残るベッドに、顔をうずめて泣いた。

何で泣いてる?
Mに抱かれて、嬉しかったんじゃないの?
十分満たされたんじゃないの?
これじゃ、ただのヒステリックな女だ。
 
 
『次』を期待すればするほど、
会う回数を重ねれば重ねるほど、
深いセックスをすればするほど、
あたしはリアルな現実を知る。

Mの帰る場所はここじゃないし、
あたしの居場所はMの腕の中じゃない。

求めてるのは、ほんの一瞬のあったかさだけ。
後腐れのない、面倒のない、
互いの都合のいい時間だけ、抱き合っていれば良い、
すごくシンプルな関係。

当たり前じゃん。
あんな場所で出会った相手に、
それ以上のことを求める必要なんてないでしょ?

何度も考えたことだし、
理屈ではよくわかってる。

一人で居る寂しさを紛らわせられれば、それで十分じゃん。
 
 
 
その日は、Mをバス停までしか送らなかった。
手をつないで、一緒にバスを待った。
でも、ばいばいのキスはしなかった。

「次は、yucoが東京においで」
「うん」
「月曜日、休みをとるよ」
「……ありがと」
 
 
切りたくなったら、いつでも切れる関係。

あたしたちは、そうあるべきなんだろう。

そんなこと、出会う前から、知ってる。
 
 
でも、理屈とは関係なく、
本当は、あなたが来てくれて嬉しかったんだよ。

嘘でも良いから、愛してくれて、ありがと。

正夢になった

2005年5月28日
Mが来た。
出張が実現したのだ。

仕事の後、Mと落ち合った。
Mは、あたしがいつもと違ってOLっぽい服を着ていたから、驚いたらしかった。

「yucoさぁ、会社の男に言い寄られたりしてない?」

一体何の心配をしてるんだか(苦笑)

「一ヶ月に2回も会えるなんて、奇蹟だね」
「そうだねぇ。Mさんがあたしの部屋に居るなんて、すごく変な感じ」
「ひどいな」Mが苦笑する。

「だって、あたしは、3月に東京でMさんに会った日が
 最後になると思ってたもん」
「絶対会いに行くって言っただろ」
「それはそうだけど……」

ゼッタイなんてありえないと思ってたのに。

Mがキスしてきた。

「俺は本当にyucoにもっと会いたいと思ってたんだよ。
 yucoがどう思ってたかは知らないけど」

「ふうん……」
 
 
抱きしめられた。
今度のキスは深くて長かった。

ふと気づいた。

「……今日は、香水つけてないんだね」

「え? ああ、香水は持ってきてなかったから」

首筋にキスをされた。

「yucoはつけてるね。いつものやつ」
「うん」
「いい匂い」

Mの舌が、耳の後ろを舐めた。
いつの間にか、手がスカートの中に伸びてきて、太ももを撫でていた。

「やばい、また襲いたくなってきた」

あたしは、Mの首に腕を回して、キスをした。

「いいよ……」囁いた。

長い長いキス。
Mの指が、下着の上からあたしの中心を触った。
そして、一番感じるところを探しあてた。

「ん……」って、キスの途中なのに、声がもれた。
 
 
いつものように、指と舌でせめられ、あたしは何度もイッた。
ぴんと立った乳首を吸われて、
壊れそうなくらい激しく突かれて、
シーツを濡らすぐらい、グシャグシャになって。
無意識に腰を動かして、もっともっと……って、あたしはMを求めてた。

「yucoの中がビクビクしてる」

Mはあたしの両腕を押さえつけ、
身動きが取れないようにして、更に突いた。
いちばん奥まで強く突きながら、Mは、あたしの顔をじっと見てた。

「すごくえっちな顔になってるよ。別人みたい」

あたしは恥ずかしくて、顔を隠したかったのに、それもできなくて。
Mの視線を感じて、よけいに濡れた。
我慢できない声が、いっぱい漏れた。
キスして、舌を絡ませて。

もっとキスして、もっとたくさん欲しい、って思った。
 
 
Mが果てて。
あたしは目を閉じて、おなかに熱いものが散るのを感じた。
一気に力が抜けた。
足の力が抜けてしまっていて、多分あたしは立てなくなってたと思う。

短くて優しいキスをした。
Mの肩に頭を預けて、ぴったりと身体をくっつけた。
Mが腰を抱いてくれた。
 
ふたりで抱き合って、あたしたちは互いの呼吸がおさまるのを待った。
 
 
 
あの日、Mのみた夢は正夢になった。

白い天井の部屋で、裸で抱き合って。
夢と同じ会話はしなかったけれど、
あたしたちは他愛もない話をたくさんした。

そして、狭いベッドでぎゅうっと抱き合って眠った。

会いたい理由

2005年5月24日
東京を離れて、知り合いすらいない土地に来て。
2ヶ月が経って、少しは慣れたけれど、
やっぱり、知り合いは会社の人間以外にはいない。

同僚とは仲良くなったし、飲みに行ったり遊びに行ったりもできる。

でも、仕事の話をしたくない時とか、弱音を吐きたい時は、
会社とはまったく関係のない人と一緒にいたい。

メールじゃだめ。
電話でも、物足りない。

顔の見える位置で話をしたい、って思う。
 
  
 
多分、東京を離れて以来、
今までよりも、Mとの関係を続けたいと思うようになったのは、そのせい。

Kくんだって、会いに来てくれる。
あたしも、Kくんに会いに行ける。

でも、お金がかかるから、会うのは1ヶ月に1度か2度が限度。
もともとKくんとあたしの休日が違うから、
会えたとしても、一緒に居られるのは一日だけ。

あたしは、寂しがりだ。
だから、一日じゃ足りない。
 
 
Mとの関係を続けていれば、その分、
ぎゅうっと抱きしめてくれる人に会える回数が増える。

Mとは1ヶ月に1度だって会える保証は無いけれど、
それでも、出張みたいに幸運な偶然があれば、会えることもある。

繋がりあえる人が、一人よりも二人いた方が、
ホッとできる時間が増える。

だから、自分の寂しさを紛らわせるために、
Mとの関係を続けたいと思っているのだと思う。
 
 
会いたいのは、「スキ」っていう、キレイな気持ちのせいだけじゃない。

結局、あたしはMと彼を利用してる。
最低。

22時間

2005年5月16日
一緒に居られたのは、たった22時間。
一日にも満たない。

でも、それでも戻ってよかったと思える。
 
 
Kくんが、指輪をプレゼントしてくれた。

「お守り代わりに」

会社にもつけていけるように、中指に合わせて。
 
 
新しい指輪の、慣れない感触。

指の付け根までぎゅっと押し込んで、
あたしはまた、遠くへと戻ってきた。
仕事で落ち込んで、
いろんな気持ちを自分で処理する余裕がなくなったあたしが頼るのは、
結局のところ、Kくんなんだった。

人前や会社では意地でも泣かない。
でも、彼の前ではわんわん泣いてしまう。

電話でも、「帰りたいよう」って言って、わんわん泣いてた。

「帰って来い」
Kくんはそう言ってくれる。

もちろん、慰めようとして言ってくれているのだけれど、
帰れないって分かっているから、よけいに悲しくなる。
 
 
 
それでも、今回は自分で自分を持て余すほど、
気持ちがぐしゃぐしゃになってた。
夜も寝つけない日が続いた。
胃を壊して、食事も飲み込むのが苦しくてたまらなくなった。
だから、週末に東京へ戻ることにした。

彼は土日休みで、私は、日月休み。
土曜日の仕事の後に、会社の飲み会があって、
朝方まで抜けられなかった。

帰宅したら、すぐにシャワーをあびて、荷物をつめて、そのまま家を出た。
眠るよりも、早く此処を出て東京に戻りたかった。
朝一の新幹線で帰ろうと思っていたけれど、
実際、乗れたのは7時くらいの新幹線だった。

9時すぎに東京に着いた。
Kくんが駅まで迎えに来てくれてた。

「疲れた顔してるなぁ」
寝てないあたしの顔をみて、Kくんは冗談めかしてそう言った。
あたしは疲れよりも、気持ちに余裕が無くて、
うまく笑うことができなかった。

Kくんが、頭をぽんぽんと叩く。

子ども扱い。
離れる前と変わらない。

バイクを停めてある場所に行くと、Kくんがヘルメットをくれた。
黒い半帽。真新しい。

「あげる。yuco専用のだよ」
「あたしの? もう、Kくんのバイクに乗ることなんて、滅多にないのに」
「そんなこと言わない」
Kくんが苦笑した。

久しぶりにバイクの後ろにのって、Kくんの家に行った。
彼は実家住まい。
休日だったけれど、家族は皆出払っているらしかった。

「部屋片付けるから、ちょっと待ってて」

そう言われて、リビングでぼんやりしていたら、Kくんが戻ってきた。
大きなクッションを渡され、無理矢理ソファに寝転ばされた。

「しばらく寝てなさい。徹夜なんだろ」

寝れないと思ったけれど、身体は思いのほか疲れていたらしい。
すぐに眠ってしまっていた。

気がつくと、Kくんはもう片付けを終えていた。
1時間近く眠りこけていたらしかった。

それから、久々に二人で食事を作った。
キッチンに並んで料理するなんて、かなり久しぶりだ。
胃の調子が悪くて、やっぱりあまり食べられなかったけれど、
普段よりはちゃんと食べることができた。

食事の後、Kくんの部屋で休憩。
ぎゅうっと抱きしめられて、キスをした。
GWに会ったばかりなのに、
すごくすごく久しぶりに抱きしめられたような気分だった。
張り詰めていたものが、しゅるりと緩んだ気がした。

「あんまり無理すんな」Kくんが言った。

ぽん、とあやすように背中を叩く。

「無理なんてしてないよ」
「嘘つけ。思いきり『無理してます』って顔してるよ」
「してないもん」
「あんなに泣いてたのに?」
「……」

「飯が食えなくなるほど無理してどうするんだよ」
「ちゃんと食べたじゃん」

「どこがだよ。全然食ってないだろ。
 yuco、会うたびに痩せてるよ。
 弱いんだから無理すんな。また倒れるぞ」

「…弱いとか、強いとか、関係ないじゃん。
 仕事だもん。できるかできないかしかないよ。
 無理しなきゃできないんだったら、無理するしかないでしょ」

Kくんは急にあたしをベッドに押し倒した。
そして、手を押さえつけて、真正面からあたしの顔を見た。
あたしは、なぜかすごくバツの悪い気持ちになった。

「俺の前では強がるな。弱いんだから」

「…弱い弱いって言わないでよ」

あたしはまた泣き出してしまった。
悔しくて悲しくて辛かった。

顔を隠そうとしたけれど、Kくんは手を離してくれなかった。

「そんなに辛いんだったら、帰って来いよ」

涙がぽろぽろとこぼれて止まらなくて、あたしはぎゅっと唇をかんだ。

「帰れるわけないじゃん。帰るとこなんてないよ」

Kくんが手を離した。
あたしは、彼に抱きついて泣いた。
彼の肩に顔をうずめて、わんわん泣いた。

「辛いよぉ」

弱音を吐いた。
 
 
 
あたしの親は、心配性で頭のカタイ人だ。
だから、東京の大学を受ける時には、猛反対された。
あたしは東京の大学でやりたいことがあったから、かなりもめた。
結局、レベル的に受かるかどうかギリギリの大学だったから、
そこに落ちたら、親の指定する大学に行くという条件つきで、
受験を認めてもらったんだった。

就職の時も同じ。
東京の企業ばかり受けていたら、実家近辺の企業の資料を送りつけてきた。
それでも言うことを聞かずに就活をつづけ、
なかなか内定をもらえずにいたら、
本当に就職活動をしているのかどうか疑われた。
就職が決まっても、企業が気に入らない、と母は文句を言っていた。
その後も、何かあるたびに「おかしな会社なんじゃないのか」って、
ブツブツ言ってる。

だから、あたしはできるだけ親に相談事をもちかけない。
愚痴も言わないし、弱音もはかない。
弱いあたしは認めてもらえないから、ポジティブなあたししか見せない。
「仕事が辛い」なんて口が裂けたって言えない。
倒れたって、実家には戻りたくない。戻れない。
泣きついたりしない。
 
今までずっとそうやってきた。
だから、泣いちゃう自分や弱音を吐く自分を認めてくれるKくんは、
すごく不思議ですごく貴重だと思う。

アナタガイテヨカッタ。
陰デ裏切ッテイルノニ。
ソウ思ウヨ。
 
 
あたしは、Kくんと久々にセックスをした。
いつものように、彼の愛撫は少し荒っぽい。
Kくんのはあたしには少し大きすぎて、やっぱり痛かったけれど、
Kくんの存在を自分の中で感じられるのは嬉しかった。

あたしは、Kくんにぎゅっと抱きしめられて、また眠った。
一人で眠れずに居た夜が嘘みたいに。

もっともっと、ぎゅうっと抱いてて。
涙は、いつだってキミの腕の中で流したいよ。

泣かない子

2005年5月10日
GWが明けて、仕事がまた始まった。

五月病とはよくいうけれど、
それとは別に、仕事でトラブルがあって、すごく落ち込んだ。
突き詰めていけば、自分が悪いんだと思う。
もっときちんとできていれば…
もっと有能だったら、回避できたことかもしれない。

今の仕事に向いてないかも、ってずっと思っている。
仕事が大変なものだということはよくわかっているし、
まだ働き始めて2ヶ月なのに、
そんな風に結論づけるのは早すぎると思うけれど。

向き不向きを言い訳にしてるんじゃないか?
そう言えるだけの努力を、今できてるのか?
うまくいかないのは、自分が頑張れてないからじゃないの?
直せるところは、もっといっぱいあるはずでしょう?
…理屈っぽいあたしは、そうやって自分を理屈で責めてしまう。
悪い癖だ。もっと前向きな考え方をしなくちゃ。
 
 
 
トラブルがあった日。
会社でも泣き出しそうなのを必死で我慢した。
帰り道、同僚の子と別れて一人になった途端、
涙がぼろぼろこぼれて、とまらなくなった。
あたしは、人通りの少ない脇道に逃げ込んで、
ぼろぼろ泣きながら家に帰った。

家に帰って、ベッドに突っ伏してわんわん泣いた。
「できない自分」がとにかく悔しかったし、
考えれば考えるほど、
東京を離れてここにいる意味が、まったくわからなくなってた。

携帯がなっても、メールが来ても、全部無視した。
電気もつけず、着替えもせず、ただベッドに突っ伏してた。

泣きやむための方法は、完全に周りから自分をシャットアウトすること。
感情を凍らせて、泣き出したい気持ちすら凍結させてしまうこと。

全然根本的な解決にはなってないけど、
明日、また仕事に向かうためには、
押さえつけてでも気持ちを落ち着かせなきゃいけない。
 
 
あたしは、「泣かない子」だ。
少なくとも、人の前では。
彼を除いた、人の前では。

遠距離不倫、逢瀬?

2005年5月5日
「キスマーク、つけて欲しいな」
そう思ったけど、さすがにMにねだることはできなかった。

Mの腕枕に頭を預けて、左手でぺたぺたとMの胸を触って、心臓をさがした。
トクトク音をたてている場所を探しあてて、
てのひらをそこにあてがったまま、てのひらでじっと鼓動を聞いてた。

「どうしたの?」Mがきいた。

「んー。心臓がトクトクいってる」

「当たり前だよ」って笑って、Mが肩を抱いた。

あったかいなぁ。
ぎゅうっと身体をMに押し付けて。
ずっとこのままで居られたらいいのに、って思いながら。

「やばい。今日はずっと勃ちっぱなしだ」
Mのそんな発言に笑ってしまう。

「えっちなこと、考えてたんでしょ」
Mのを撫でた。
本当に、ずっとかたくなったまま。
 
 
 
身体を預けて眠ったら心地良いだろうと思うけれど、
眠ってしまえば、時間は一瞬で過ぎてしまう。
 
 
 
 
Mに、仕事でまたこっちに来るかもしれないと聞いた。
でも、それも確実な話ではない。
決まるのは直前。
可能性は、50%くらいだそうだ。

だから、今まで以上に「今日が最後かもしれない」っていう気持ちが強い。

会えなくなって、連絡が途切れたとして。
私はショックを受けるのだろうか。

いずれはそうなるって分かっているのだし、
それが今日であっても明日であっても、何の不思議もない。

本当に自分を受け入れて「好きだ」って言ってくれるのはMじゃない。
本当に自分が心を許して甘えられるのはMじゃない。

遠く離れてから、そう実感するようになった。
辛い、って思ったときに励ましてくれるのは彼だし、
自分が弱音を吐けるのも、頼ろうと思えるのも彼。
Mじゃない。

でも、
今ここに二人でいる時間を嬉しいと思ってる自分がいるのも事実。

変な気持ち。
 
 
 
「出張が決まったら、連絡するよ」
「うん。また、会えたら良いね」
「『会えたら』じゃない。必ず会いに来るよ」
「ホントかなぁ?」
「うん。yucoも、東京にくる時は教えて」
「うん…」

Mを駅まで送って、
駅でしばらく話をした。
人目も気にせずに、Mに腰を抱かれて、
私も、Mの肩に頭を預けて。

「んー…」
「どうした? 寂しい?」
「うん、ちょっとだけ」
「ちょっとだけ?」

Mが苦笑した。

いままでのように、ばいばいのキスをして別れた。
 
 
次はいつ?

「次」なんて期待しちゃいけない。
そう思いながら、考えてた。

遠距離不倫、逢瀬

2005年5月4日
まさか本当に再会する事があるなんて、嘘みたいだった。
しかも、私の家で。

東京に居た頃も、Mを家に呼んだことなんてなかった。
「行くよ」という連絡を受けても、
待ち合わせ時間と場所を決めても、全然実感が湧かなかった。

彼氏が帰ったあと、部屋を片付けていたら、携帯がなった。
Mからの着信。

携帯番号を教え合っても、実際は電話で話したことなんてなかったので、
妙にどきどきしながら出た。
電話の向こうから聞こえる、Mの声。
「うわー、変な感じ」思わず笑ってしまった。

駅までMを迎えにって、本当にMが居るのを見つけて、
やっと約束が嘘じゃなかったんだと思った。
だって、全然信用してなかったから(笑)

「相変わらずちっちゃいね」って、それがMの第一声(苦笑)

我家に行って、ドアを閉めたら、Mはいきなり腰を抱いてキスしてきた。

久しぶりの感触と、香水の匂い。

くすぐったいような、恥ずかしいような変な感じだった。

部屋に入って、とりあえず座って。
「久しぶり。でも、意外と早い再会だったね」
そう言って、もう一度深いキスをした。

「やばい、このまま押し倒しそう」
一瞬だけ抱きしめて、Mはパッと身体を離した。

私はこっそり、「押し倒されても良いけどな」と思ったけれど。

Mには、来てくれたら手料理をご馳走するという約束をしてた。
リクエスト通り、和食フルコース。
おいしいと言ってくれて、ホッとした。
食事のあと、Mが買ってきてくれたケーキを二人で食べた。
テレビみたり、ぼんやりしたり。
おかしいくらい普通の時間を過ごした。

Mがキスしてくるまでは。

ふと、抱き寄せられて、キスをして。
Mがじぃっと私を見てた。
Mが私の手をとって、ベッドに誘った。
ベッドに横になって、しばらくはぎゅうっと抱き合ってた。

「相変わらずいい匂い」
Mが言った。首筋にキスした。
手が、胸を弄り始めてた。

深い深いキスを何度も繰り返して。
指が下着の中に入ってきて。
私の身体はビクッとなった。

「ん……」って、声がもれた。

指が小刻みに動いて、私はもうぐしゃぐしゃに濡れてて、
声も我慢できなくなってた。
ガチガチになったMのを弄ってたけれど、
それもできなくなってしまうくらい、感じてた。

「あ、あ……」って声がもれて。
身体は恥ずかしいくらいに反応して、ビクビク震えてた。
指が中に入ってきて、かき回されて、
それだけでシーツを濡らすぐらいグチャグチャに濡れた。
足を閉じようとしても許してもらえなくて、逆にいっぱいに広げられた。

指を動かしながら、Mの舌が喉から胸、胸からお腹へと下がっていった。
そして、グシャグシャになったところを舐め始めた。
音をたてて、時々強く吸って。
たくさん舐められても吸われても、私はずっと濡れっぱなしだった。

「えっちだなぁ」
そう言って、Mが中に入ってきた。
Mの硬さがすごく良くわかって、私はまた声をあげた。
Mが中をかき回して、壊れそうなほど突かれて、私はのけぞって。
キスもまともにできないくらいに感じて。
「あぁ、あぁ」って、泣き声みたいな声をあげて。

汗で濡れたMの背中をぎゅうっと抱きながら、
「いっちゃうよぉ」ってうわごとみたいに言ってた。

Mが果てて、私はぐったりとしてしまった。
Mが優しくキスしてくれて、腕の中に抱いてくれた。

すごくすごく久しぶりで、すごくすごく懐かしい感じがした。
離れたくないって思った。

せめられる

2005年4月17日
「気持ち良いの?」
「どこを触って欲しいの?」
「何が欲しいの?」
「何をいれて欲しいの?」
「どこへいれて欲しいの?」
「激しいのがいいの?」
「奥まで欲しいの?」
 
 
言葉でせめられて、恥ずかしくて。
激しく突かれて、あぁ、あぁ、って喘いでる。

頭がおかしくなっちゃいそうで、
私はきつく彼にしがみつく。
彼は、ぎゅっと抱き返してくれる。
苦しいくらい。
でも、もっともっと……って思う。

彼が私の中で果てる時に、一番強く深く私の中心を突く。
私の中心が、じわ、と温かくなる。
その瞬間が、一番幸せだと思う。

頭がぼうっとして、ぐったりする私を、
今度は優しく抱きしめてくれる彼。
私は、肩に頭を預けて、安心しきって目を閉じる……。

温かいね。
あなたは、いつも。
 
 
 
逢瀬が近づくにつれ、思い出す。

早く抱きしめられたい。      
想うだけでしあわせ?

愛するだけで満足?
 
 
そうでなきゃいけない。
 
 
でも、切なくなる。
悲しくなる。

かなわない気持ち。

かなえたいだなんて思っちゃいけない。
 
 
触れるくちびる。
大好きな香り。
 
目を閉じて、感じたい。
 
 
あなたのキスは、どうしてあんなに優しいのだろう。

でも、きっとそれは普通の『好き』とは違うものなんだ。
 
 
 
きっと……やっぱり、近づきすぎちゃいけなかったんだね。
 
 
「すき」……って。

認めなければ楽だったんだろうな。

遠距離の言い訳

2005年4月9日
来月会いに来てくれることを楽しみにして、毎日を過ごす。
それで良かったはずなのに。

ほんの少しの事ですれ違って、悲しんで、傷ついて、傷つけて。
その繰り返し。

遠距離じゃなければ、って考えてしまう。
ここに来なければ…。あのままの私たちでいられれば…。
以前と今を比べてしまう。
こんなの、ばかみたい。辛いだけだ。

いっそ何もかも捨ててしまえば、自分や彼のためになるんじゃないだろうか。

多分、今別れれば楽だからそう思うんだろう。
「遠距離」っていうのは、良い言い訳になるから。

「会えないから寂しくて」
「姿が見えないから不安になって」
「離れてる事が負担になって」

いくらでも言い訳できる。
お互いを傷つけないような言い訳を。
全部「距離」のせいにして。
自分たちの気持ちのすれ違いには目をつぶって。
どちらも悪くなかったんだよ、って。

離れていると、気持ちは言葉で伝えなくちゃいけなくなる。
触れ合うことで埋められていた隙間が埋められなくなるから。
全部、言葉で埋めなくちゃいけない。
でも、言葉で表わしきれない気持ちがあるから、不安になる。
ぬくもりがほしくなる。
抱き合って確かめたくなる。
想えば想うほど。

抱きしめて、キスして?
言葉は要らないから。
こころの隙間をいっぱいにして。

やっぱり、あなたをずっと感じていたい。

まだ先の話

2005年4月4日
            

ちゃんと泣く

2005年3月29日
見知らぬ土地に引っ越して、気分を新たに前に進む。
理想はそれだと思う。
だけど、私の中からはネガティブな気持ちばかりがあふれてきてた。

仕事のために引越しが決まって。
家も、会社が決めた所で。
思い通りにいかない引越しや、
知らない土地での生活というプレッシャー、
さびしい気持ち。

何より、自分が今ここにいる理由がどうしてもわからなかった。

皆より一足早く仕事が始まり、
ただ忙しい日にいろんな感情も忙殺されながら一日を終え、
部屋に戻り座り込むたびに「私はここで何をしてるんだろう」って思った。
引越しも、いろんな手続きも、荷解きも仕事の準備も全部ひとりでやった。
東京からも実家からも遠いから、
友達や家族に頼っちゃいけないって思ってた。
 
 
卒業式には出ることができ、1泊2日だけ東京に戻った。
その2日間も予定がいっぱいで、私は息をつける暇もなく動き回ってた。

Mに会う暇なんてあるわけもなく。
彼にあったのすら、夜だけだった。

「いっぱいいっぱいな顔してる」

久々にあった彼にそう言われて、
私は思ったよりも自分に余裕がなくなってたことに気づいた。

一緒に食事をして、お酒をほんの少しだけ飲んで。
初めて、息をつけた気がした。
体温がわかるくらい近くで話をしていることや、話しながら見る横顔が、
気の遠くなるくらい久しぶりのもののように思えた。
  
 
泊まっているホテルにこっそり彼を呼んで、
ぎゅうっと抱きしめられて、やっと張り詰めていたものが緩んだ気がした。
 
裸で抱き合って「あったかいなぁ」って思いながら、
やっと私はほっとした。

それと同時にどうしようもなく悲しくなった。

こんなにあったかい人から離れて、
どうして私はあんな遠い所にいるんだろう。

気がつくと、私は泣き出していた。
はじめはジワ…と溢れただけの涙だったのに、とまらなくなった。
彼が気づいて「泣くなよ」って言った。
言われると、余計に涙は止まらなくなった。
涙をぬぐってくれようとする彼から顔をそらそうとしたけれど、
彼はそれを許してくれなかった。
隠れて泣こうとする私に、彼は「なくなよ」って言うのをやめた。

「泣くなら、ひとりで泣かないでちゃんと泣きなさい。
 俺がここにいるんだから」

私は、彼の胸に顔を隠して、いっぱい泣いた。
嗚咽を漏らして、子供みたいに泣いてた。
子供のころだって、あんなに泣いたことはないんじゃないだろうか。
そう思えるくらいに。
 
 
泣き虫。

彼はそう言った。

うん、そうだと思う。
あなたの前では。
 
 
Mの前では、私はいつだって元気なワタシだ。
落ち込んだり、ネガティブだったりする自分は、Mの前ではみせたくない。

多分、彼とMの一番の違いはここなんだろう。
 
 
「ずっと好きだよ」

部屋を出るのは、彼のほうが早くて。
見送る私に、彼はそう言った。

彼の言う「ずっと」は、Mの言う「ずっと」とは違う。 
 
 
彼とも、Mとも。
次にあえるのはいつだろう。
 
 
2日間だけ学生に戻って、
今、また私は遠くに戻ってきた。
また、なれない環境と忙しさにあたふたしてる。

ここにいることの理由付けは、まだできてない。

でも、なんとなく、前よりはがんばれる気がする。

不自由な電話

2005年3月15日
引越し先にネットが繋がって、久々にメールをチェックしたその日。

新しい部屋

2005年3月13日
部屋に積み上げられたダンボール。
窓には、前の部屋から持ってきた、サイズのあってないカーテン。
 
 
新しい部屋に新しいベッド。
新しいベッドカバーは白。
細い赤のラインが一本だけ入った、シンプルなもの。
 
 
新しい部屋の匂い。
前よりも狭くなった。

茶色いフローリング。
白い壁紙。

窓の外には、新しい街。 

この街には、彼もMもいない。 
 
 
ベッドにもぐりこんで、
顔だけを出して。

シンとした部屋。
 
 
天井をぼんやりと眺めた。
 
 
 
天井も、白。
Mと私は、互いの電話番号を知らない。

1 2 3 4 5 6 7

 

最新の日記 一覧

<<  2025年7月  >>
293012345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829303112

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索