突然の電話

2005年12月14日
仕事を辞めるって、
Mにメールを送った。

いつもの他愛のないメールの最後に、
他愛のない話みたいに一言。

『あと、仕事辞めることにしたんだ。ご報告まで!』って。
 
 
何ともない話題の一言として。
「そうだったんだね」って、流してくれたらいいな、って。
 
 
 
でも、
その日の夜、Mからの電話。
いつものメールと同じ、着信音。
だけど、画面を見て、あたしはどきりとする。

どうしようか、って少し悩んだ。

電話にでた。
「もしもし」Mの声がする。

「もしもし」
「久しぶり」
「仕事の帰りに電話してみた」
「そう」
「……仕事辞めるの?」
「うん」
「いつ?」
「3月末かな」
「じゃあ、急に辞めるってわけじゃないんだ」

ちょっとホッとしたみたいに、Mが言う。

「今すぐ辞めるのかと思った」
「いくらなんでも、それはないよ」あたしはいつもみたいに笑う。
「じゃあ元気なんだ」

「心配してくれたの?」冗談めかして言う。
「何かあったのかと思った」
「そっか。ごめんね」
「いや、声聞いて、元気そうだから安心した」
「うん、大丈夫」

あたしは少し笑う。
「どうした?」
「なんか変な感じ」
「そう?」
「だって、電話なんて全然しないから」
「変?」
「ううん。変じゃない」
 
 
嬉しい。
そう思う。
でも、なんだか急に恋しくなって、胸がぎゅうっとなる。

『会いたくなっちゃったよ』
『ぎゅうってして欲しくなっちゃった』

言葉を飲み込む。
 
 
10分くらいの、短くて、ちょっと長い時間。

「じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん」
「じゃあ」
「うん」
「切るね」
「うん」
「じゃあ」
「うん。じゃあね」
「うん」
「ばいばい」

切り際をつかめずに、もたつく会話。

プールオムのあの匂いが、微かによぎった気がした。

『だいじょうぶ』
でも、まだ何も決められてない。
不安で不安で仕方ない。
 
 
『会いたくなっちゃった』
『ぎゅうってされたいよ』

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索