セックスして、一緒にご飯を食べて。

短い時間にできることは限られてる。

考えようによっては、ただ出張ついでにヤリに来ただけみたいに思える。

あたしとMが、本気で愛し合うことなんてあり得ないから。
 
 
翌日の夕方、Mは東京に戻った。
 
ひとりになった夜、あたしはひどい倦怠感にかられた。
ぽろぽろと涙がこぼれて、
Mの匂いが残るベッドに、顔をうずめて泣いた。

何で泣いてる?
Mに抱かれて、嬉しかったんじゃないの?
十分満たされたんじゃないの?
これじゃ、ただのヒステリックな女だ。
 
 
『次』を期待すればするほど、
会う回数を重ねれば重ねるほど、
深いセックスをすればするほど、
あたしはリアルな現実を知る。

Mの帰る場所はここじゃないし、
あたしの居場所はMの腕の中じゃない。

求めてるのは、ほんの一瞬のあったかさだけ。
後腐れのない、面倒のない、
互いの都合のいい時間だけ、抱き合っていれば良い、
すごくシンプルな関係。

当たり前じゃん。
あんな場所で出会った相手に、
それ以上のことを求める必要なんてないでしょ?

何度も考えたことだし、
理屈ではよくわかってる。

一人で居る寂しさを紛らわせられれば、それで十分じゃん。
 
 
 
その日は、Mをバス停までしか送らなかった。
手をつないで、一緒にバスを待った。
でも、ばいばいのキスはしなかった。

「次は、yucoが東京においで」
「うん」
「月曜日、休みをとるよ」
「……ありがと」
 
 
切りたくなったら、いつでも切れる関係。

あたしたちは、そうあるべきなんだろう。

そんなこと、出会う前から、知ってる。
 
 
でも、理屈とは関係なく、
本当は、あなたが来てくれて嬉しかったんだよ。

嘘でも良いから、愛してくれて、ありがと。

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