遠距離不倫
2005年3月1日今日、Mは休みだったのだけれど、奥様には仕事だと言ったらしい。
スーツ姿だった。
朝から会って、夜まで一緒に居られる。
今日で、最後だ。
午前中は、私の希望する場所に行った。
ちょっとした約束で、付き合ってもらう事になっていたのだ。
でも、その後の予定は何も決まってなかった。
少なくとも、私は何も聞いてなかった。
「実は今日、ホテルを予約してる」
昼食を食べている時に、Mが言った。
「ホテル? ……って予約できるの?」
ラブホテルのことだと勘違いした私は、わけの分からないことを言ってた。
でも、実際はちゃんとしたシティホテルだった。
まさか予約をとっていると思ってなかったので、私はすごく驚いた。
きちんと正装したホテルマンが、顔の見える位置にいる。
チェックインしている時、妙に緊張した。
部屋から見える街の景色もなんだか新鮮に見えた。
風景を眺めるのが好きだから、全然飽きなくて、
「あっちが●●で、こっちが××だねぇ」って、
分かりきったことを言いあいながら、しばらく外を眺めていた。
「夜になったら、綺麗だろうね」
私はそれだけではしゃいでしまう。
子供っぽいとは思うけれど。
ベッドに座っていたMに呼ばれ、手をひかれて、隣に座った。
初めて会った日も、こうやって手をひかれたんだった。
今は、あの時ほどの緊張も不安もない。
腰を抱く腕や、息がかかるくらいに近くにいることを嬉しいと思うだけ。
罪悪感よりも、その気持ちの方が大きい。
肩に頭を預けて、Mの顔を見た。
まつ毛、長いなあ……。改めて思った。
キスをした。
きつく抱きしめられて、私も強く抱きしめかえした。
ベッドに倒れこんで、Mが私の上着をはいで、身体中にキスをした。
のどにも、肩にも、胸元にも。
ニットのキャミソールの上を、Mの手が這っていた。
「だめだ……やっぱり止まらなくなった」
「……ん?」
Mは、私の手をとって自分のを触らせた。
スーツの上からもわかるくらい、かたく大きくなってた。
「わかりやすい」私はちょっと笑った。
愛撫が激しくなって、気がつけば服を脱がされてた。
唇が乳房を吸って、だんだん下がって行くのを感じた。
声が漏れた。
ドキドキしてきた。
初めて手に触れた時みたいに。
Mは、私の弱いところを知っていて、いつも指で攻める。
「だめ」って言っても、大きな声で喘いでも、
唇でふさがれ、私がイクまでやめない。
私も、弄るようにMのを触ってた。
攻められて攻められて、くたっとした私に更に意地悪するみたいに、
Mは自分のを入れる。
私の身体は、力が抜けていたはずなのに、また反応してる。
声をあげて、身体をのけぞらせて、それでもMを求めてる自分がいる。
もっと奥に、もっと……って思ってる自分がいる。
その日、何度目のセックスだっただろう。
「好きだよ」
Mが言った。
私の好きな、うっとりとした顔で。
「好き?」
「ん……」
むさぼるように、キスをした。
「好き……」って言った。
Mの身体にたくさんキスをした。
そして、Mのを、口に含んだ。
優しく優しく、包んであげたいと思った。
タイムリミットは、終電までで。
十分すぎる時間なのだろうけれど、やっぱり短く感じて。
時計を見ると、終電が迫っていた。
いっそ私もこのまま眠って、気づかなかったフリをしようか。
そう思った。
そんなこと、できなかったけれど。
最後に、ゆっくり過ごせてよかったな、って思った。
これで終わりになっても、「良い思い出」にできるかもしれない。
眠っているM。
私は、Mに後ろから抱きしめられて。
Mの左手が、ぽん、ぽん、と子供をあやすようにリズムを刻んでた。
無意識だろうか。
奥様と抱き合って眠っている時にも、
こうやってリズムを刻んでるんだろうか。
ぼんやりと考えた。
「…夢見てた」
目覚めたMが言った。
「すごくリアルな夢だったよ。
白い天井の部屋に居て、
こんな風にyucoと裸で抱き合って、寝て、話してた。
『5月は忙しいから…とか』」
「次の相談?」
「次の次かも?」
「じゃあ、居るのは私の新居?」
「そうかも」
「…『次』なんてあるのかなあ」
「あるよ」
「ホントに?」
「絶対」
Mは言う。
『ゼッタイ』だと。
『絶対』なんてありえない。
離れれば疎遠になり、きっとメールの頻度も減っていくはずだ。
そして、いつかはきっと『オワリ』がくる。
そんなこと、わかりきってる。
でも、理屈とは別に、Mにもっと会いたいと思う。
「Mの夢が正夢になればいいのに」
そう思っている自分が居る。
別れる駅で、いつもと同じばいばいのキス。
ほんの少し、いつもより深いキスだった。
スーツ姿だった。
朝から会って、夜まで一緒に居られる。
今日で、最後だ。
午前中は、私の希望する場所に行った。
ちょっとした約束で、付き合ってもらう事になっていたのだ。
でも、その後の予定は何も決まってなかった。
少なくとも、私は何も聞いてなかった。
「実は今日、ホテルを予約してる」
昼食を食べている時に、Mが言った。
「ホテル? ……って予約できるの?」
ラブホテルのことだと勘違いした私は、わけの分からないことを言ってた。
でも、実際はちゃんとしたシティホテルだった。
まさか予約をとっていると思ってなかったので、私はすごく驚いた。
きちんと正装したホテルマンが、顔の見える位置にいる。
チェックインしている時、妙に緊張した。
部屋から見える街の景色もなんだか新鮮に見えた。
風景を眺めるのが好きだから、全然飽きなくて、
「あっちが●●で、こっちが××だねぇ」って、
分かりきったことを言いあいながら、しばらく外を眺めていた。
「夜になったら、綺麗だろうね」
私はそれだけではしゃいでしまう。
子供っぽいとは思うけれど。
ベッドに座っていたMに呼ばれ、手をひかれて、隣に座った。
初めて会った日も、こうやって手をひかれたんだった。
今は、あの時ほどの緊張も不安もない。
腰を抱く腕や、息がかかるくらいに近くにいることを嬉しいと思うだけ。
罪悪感よりも、その気持ちの方が大きい。
肩に頭を預けて、Mの顔を見た。
まつ毛、長いなあ……。改めて思った。
キスをした。
きつく抱きしめられて、私も強く抱きしめかえした。
ベッドに倒れこんで、Mが私の上着をはいで、身体中にキスをした。
のどにも、肩にも、胸元にも。
ニットのキャミソールの上を、Mの手が這っていた。
「だめだ……やっぱり止まらなくなった」
「……ん?」
Mは、私の手をとって自分のを触らせた。
スーツの上からもわかるくらい、かたく大きくなってた。
「わかりやすい」私はちょっと笑った。
愛撫が激しくなって、気がつけば服を脱がされてた。
唇が乳房を吸って、だんだん下がって行くのを感じた。
声が漏れた。
ドキドキしてきた。
初めて手に触れた時みたいに。
Mは、私の弱いところを知っていて、いつも指で攻める。
「だめ」って言っても、大きな声で喘いでも、
唇でふさがれ、私がイクまでやめない。
私も、弄るようにMのを触ってた。
攻められて攻められて、くたっとした私に更に意地悪するみたいに、
Mは自分のを入れる。
私の身体は、力が抜けていたはずなのに、また反応してる。
声をあげて、身体をのけぞらせて、それでもMを求めてる自分がいる。
もっと奥に、もっと……って思ってる自分がいる。
その日、何度目のセックスだっただろう。
「好きだよ」
Mが言った。
私の好きな、うっとりとした顔で。
「好き?」
「ん……」
むさぼるように、キスをした。
「好き……」って言った。
Mの身体にたくさんキスをした。
そして、Mのを、口に含んだ。
優しく優しく、包んであげたいと思った。
タイムリミットは、終電までで。
十分すぎる時間なのだろうけれど、やっぱり短く感じて。
時計を見ると、終電が迫っていた。
いっそ私もこのまま眠って、気づかなかったフリをしようか。
そう思った。
そんなこと、できなかったけれど。
最後に、ゆっくり過ごせてよかったな、って思った。
これで終わりになっても、「良い思い出」にできるかもしれない。
眠っているM。
私は、Mに後ろから抱きしめられて。
Mの左手が、ぽん、ぽん、と子供をあやすようにリズムを刻んでた。
無意識だろうか。
奥様と抱き合って眠っている時にも、
こうやってリズムを刻んでるんだろうか。
ぼんやりと考えた。
「…夢見てた」
目覚めたMが言った。
「すごくリアルな夢だったよ。
白い天井の部屋に居て、
こんな風にyucoと裸で抱き合って、寝て、話してた。
『5月は忙しいから…とか』」
「次の相談?」
「次の次かも?」
「じゃあ、居るのは私の新居?」
「そうかも」
「…『次』なんてあるのかなあ」
「あるよ」
「ホントに?」
「絶対」
Mは言う。
『ゼッタイ』だと。
『絶対』なんてありえない。
離れれば疎遠になり、きっとメールの頻度も減っていくはずだ。
そして、いつかはきっと『オワリ』がくる。
そんなこと、わかりきってる。
でも、理屈とは別に、Mにもっと会いたいと思う。
「Mの夢が正夢になればいいのに」
そう思っている自分が居る。
別れる駅で、いつもと同じばいばいのキス。
ほんの少し、いつもより深いキスだった。
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