飲み込まないで

2004年12月25日
とりあえずの「ごめんなさい」では、何も解決しない。

言いたいことも全部飲み込んだまま。

たとえ激しい言い合いになっても良いし、それで傷ついてもいい。
だから、ちゃんと会って、お互いに納得できるまで話したい。
 
彼と電話をした。
彼はいつもどおりに振舞おうとしてくれたのだろう。
妙に形式ばった「こんばんわ」から始まる電話も、
「今何してた?」という問いも、いつもと同じパターン。
でも、声色がいつもと違うのがわかる。
そんな声を聞いていると、よけいに苦しくなる。
 
 
「昨日はごめんね」私は言った。

「どうして?」彼が訊いた。

私は、自分が彼に対して謝らなくてはいけないと思うことと、
その理由を言った。
気持ちに任せて溜め込んだ言葉を全部吐き出す、
なんてことはやっぱりできなかったけれど、
それでも、言える限りの言葉を伝えようとした。

でも、そのことに彼は何も言ってくれなかった。

「俺も、ごめん」彼が言った。

「どうして謝るの?」私は訊いた。
 
彼にも話して欲しかった。
どんなことでも、言いたい言葉は全部言って欲しいと思った。

でも、彼は黙ってしまった。

自分の気持ちを言おうかどうしようか迷っているのだとわかった。
相手を傷つけるような言葉なら、なおさら言いよどんでしまう。
きっと彼も同じだ。

何か言ってよ。そう思った。

何も言われずに傷つくなら、何か言われて傷ついた方が良い。
 
 
でも、彼は何も言ってくれなかった。
 
 
いつも通りを装った話。
明るそうに聞こえて、本当は酷く強張った声。
 
 
聞きたいのは、そんな声じゃないよ。そんな言葉じゃないよ。

そう思った。
でも、私もまた、その言葉を飲み込んでしまった。
 
 
「また後でメールするよ」

彼が言った。
電話は終わってしまった。

何も話せず、会う約束もないまま。
 
 
 
後からきたメールにも、怒りの理由も責める言葉もなかった。

あなたの言葉は、いつも優しすぎる。
 
 
メールの中でさえも、言葉を飲み込んでいるんだね。

その姿が、見えてしまう。
 
 
 
私が反省しなくちゃいけないことはいっぱいあるし、
謝らなくちゃいけないこともいっぱいある。
でも、あなたももっと文句を言ってください。
あなたは優しいから、いつも我慢しているような気がする。

長いメールを返した。

「我慢しないで、本音を言ってください」
ほんの少しでも、私の気持ちをぶつけるメール。

送るのが怖かった。

ただ、何も言わずにいるのはもうやめたいと思った。
 
 
 
 
 
返事はこない。
 
 
 
 
 
もう、元のようになれないんじゃないだろうか。

急に不安になった。

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