はじまりというもの
2004年10月14日多分、そこにたどり着いたのは眠れなかったせい。
東京では完全な静寂など望めない。
星も月も、闇そのものがうす紅い光を孕んでいる。
けれど、それでもシンとした夜の中で、私はまた、眠れずにいた。
寝付けないことには慣れた。
それでも、誰もいない部屋でじっとしていることへの
不安と焦りのようなものには、まだ慣れない。
話す相手も温もりも遠い。
眠くなるのを待とうと、パソコンをたちあげた。
あてもなくネットの上を飛び回って、
ふと、あるサイトにたどり着いた。
いわゆる出会い系サイト。
そのサイトにはチャット部屋があった。
暇つぶし代わりに話す相手が欲しくて、
そして、半分は冷やかしのつもりで登録した。
チャットは、男性と女性が一対一で話す形式になっていた。
私はチャット部屋に入った。
待ち構えていた男性から声がかかった。
私も、軽いトーンで返事をした。
男は、自己紹介もそこそこに、私に質問を浴びせてきた。
名前は? 年齢は? 出身は? 身長は? 体重は? スリーサイズは?
私は嘘を交えながら答えた。
事実に沿っているのは、年齢と身長くらいのものだ。
正直に答える必要などないと思った。
それでも、22歳という年齢を、男は喜んだようだった。
社交辞令程度に質問を返してみたが返事はうやむやで、
お返しにまた質問の雨。
容姿は? 髪型は? サイトに登録した目的は?
目的は、暇つぶし。
そう言った。
冷たく言ったつもりだったが、むしろ男はくいついてきた。
質問は、すぐに欲情をむき出しにしたものへと変わっていった。
私は、やはり嘘ばかりを答えた。
それでも男は嬉々として、答えのひとつひとつに反応していた。
……くだらない。
くだらないやりとり。
うんざりした。
話の途中で、私はログアウトした。
時計を見た。
時間は経っていたが、少しも眠くはなっていなかった。
東京では完全な静寂など望めない。
星も月も、闇そのものがうす紅い光を孕んでいる。
けれど、それでもシンとした夜の中で、私はまた、眠れずにいた。
寝付けないことには慣れた。
それでも、誰もいない部屋でじっとしていることへの
不安と焦りのようなものには、まだ慣れない。
話す相手も温もりも遠い。
眠くなるのを待とうと、パソコンをたちあげた。
あてもなくネットの上を飛び回って、
ふと、あるサイトにたどり着いた。
いわゆる出会い系サイト。
そのサイトにはチャット部屋があった。
暇つぶし代わりに話す相手が欲しくて、
そして、半分は冷やかしのつもりで登録した。
チャットは、男性と女性が一対一で話す形式になっていた。
私はチャット部屋に入った。
待ち構えていた男性から声がかかった。
私も、軽いトーンで返事をした。
男は、自己紹介もそこそこに、私に質問を浴びせてきた。
名前は? 年齢は? 出身は? 身長は? 体重は? スリーサイズは?
私は嘘を交えながら答えた。
事実に沿っているのは、年齢と身長くらいのものだ。
正直に答える必要などないと思った。
それでも、22歳という年齢を、男は喜んだようだった。
社交辞令程度に質問を返してみたが返事はうやむやで、
お返しにまた質問の雨。
容姿は? 髪型は? サイトに登録した目的は?
目的は、暇つぶし。
そう言った。
冷たく言ったつもりだったが、むしろ男はくいついてきた。
質問は、すぐに欲情をむき出しにしたものへと変わっていった。
私は、やはり嘘ばかりを答えた。
それでも男は嬉々として、答えのひとつひとつに反応していた。
……くだらない。
くだらないやりとり。
うんざりした。
話の途中で、私はログアウトした。
時計を見た。
時間は経っていたが、少しも眠くはなっていなかった。
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