束の間

2004年10月17日
久しぶりに彼氏と会った。

彼は仕事の都合で九州に住んでいる。
交際期間は一年くらいになる。
出逢ったのは東京だけれど、
付き合い始めて半年もたたないうちに転勤が決まってしまった。
それから半年以上、遠距離を続けている。

今回は金曜日の深夜に戻ってきていたが、
土曜日は友達と出かけていたらしい。

うちにやって来た彼は、数週間ぶりに会った私を抱きしめるのではなく、
くしゃくしゃと頭をなでた。

また子供扱い。

私は少し拗ねてみせる。
いつものやりとり。
だから、彼もいつものように笑った。

彼は五つ年上。
私が感じるよりも年齢差を感じることが多いという。

離れて暮らしているせいもあるだろうが、衝突することはほとんどない。
彼は、めったに怒らない人だ。
少なくとも、声を荒げて怒鳴りつける姿を見たことはない。

「子供相手に怒ったりしないよ」

冗談めかしてそんなことを言ったりする。

「たった五歳の差でしょ?」

私は反論するが、やはり彼は笑うだけだ。
 
 
子供……ね。

そうなのだろうか。
離れていることがどうしようもなく寂しく感じるのは、
私が子供だからなのだろうか。
月に良くて数回、下手をすると一度も会えないような生活を不満に思うのは、
私が幼いせいなのだろうか。
仕事中に電話やメールができないことくらい分かっているけれど、
それでも声が聞きたい、返事が欲しいと思うのは、
幼さゆえの我侭なのだろうか。

そうかもしれない。

でも、寂しさを我慢してやっと会えたその時には、
ぎゅっと抱きしめて欲しい。

頭をなでるのでなはく、すぐに抱きしめて欲しい。

腕のかたさや胸のぬくもり、ほのかな香水の匂いを、
誰よりも近くで感じていたい。

もっとそばにいたい。ずっとそばにいてほしい。

そう思うのも、私が子供だから?
 
 
横に座る彼の頬にキスをした。
彼はやっと私を抱きしめてくれた。
私の頬をなで、髪をそっとかきあげてくれた。
キスをした。
そして、寝た。

あなたは、こうやって私を抱いている時も、
子供だと思っているの?

彼は何も言わず、深い深いキスをした。

熱い指が、私の身体を這った。

寂しさの氷が、ほんの少しだけとけた。
 
 
 
束の間のぬくもり。

彼はまた、遠くへと離れていった。

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